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研究紹介
近年,地震や火山活動などの地殻活動に先行する電磁気現象の観測例が世界各地から多数報告されています.例えば,地電位差観測,地球磁場観測,VLF帯局電波等の伝搬状態の観測データ等が挙げられます.その概要を下図に示します.私のところでは,これらの電磁気現象の発生機構を解明して,地殻活動監視システム (いわば地象天気予報) の実現を目指す研究を行っています.そのために必要な地下の電磁気学的な構造を測定したり,電車や工場等からでる電磁雑音を除去する研究も行っています.
主な研究テーマを紹介します.
(1) 電磁気学的な手法による地殻活動監視システムに関する研究
地震現象を地殻内の応力集中による破壊現象としてとらえ,その準備過程において発生する電磁気現象を正確に把握し,その物理機構を解明することを目的としています.つまり,電磁気的なアプローチによる地殻活動の監視,いわば「地象天気予報」を実現し, " 減災 " に役立てることが究極の目的です.
(2) 地殻構造推定に関する研究
MT 法などの電磁気探査を実施し,電気的な地下構造の推定を行います.電気的構造の分布状態と地殻活動との比較検討を行い,地殻活動の活動域にとの関連を調査研究しています.
(3) 異常信号の自動検出・雑音除去に関する研究
観測された時系列信号を弁別し,所望する信号の情報を効果的に取出す手法や信号源を同定するための手法を開発しています.
地震は急激な断層運動です.地球の表面はいくつかのプレートに分かれ,それらのプレートは盛んに動いており,その相対運動の結果として発生する急激な断層運動が地震です.地震は大きく2グループに分類されます.その1つはプレート境界で起こるいわゆるプレート間地震 (震源の深さ 70km 程度まで) です.そしてもう1つはプレート内部で起こるいわゆるプレート内地震です.プレート内地震はさらに内陸型地震 (深さ30km 程度まで) と,深さ 670km にもおよぶ深発地震に分類されます.
地殻活動に関する電磁気学的な研究は,日本・ギリシャ・ロシア・中国・米国・台湾・イタリアなどで盛んに進められています. 地震に先行する電磁気学的現象は以下の3種が報告されています.
1) 震源から発生する先行信号と考えられるもの
2) 震源域上空の電離圏・大気圏に起因する電波伝搬の異常と考えられるもの
3) 衛星で観測される温度異常等
ULF観測システム:
磁力計を地下約1メートルに埋設し,南北・東西・鉛直成分の3成分磁場データ (および水平2成分の電場) をパソコンで測定しています.そのデータは,準リアルタイムで研究室に転送され,解析されています.なお観測は,東海大学,電気通信大学などと協力して行っています.
VHF観測システム